シックス・フィート・アンダー/Six Feet Under
(出典 HBO)
今日はアメリカのHBOというテレビ局が2000年から2004年にかけて制作・放送した人気テレビシリーズ、シックス・フィート・アンダーについて紹介したいと思います。
派手さはなく割と淡々と静かに進んでいくドラマですが、最終シーズンまで見終わった後は何かはよくわかりませんが何か心に残る深いドラマでした。
どんなドラマ?フィッシャー・アンド・サンズ?
シックスフィ―トアンダーは、カリフォルニア州ロサンゼルスの家族経営の葬儀屋さん(a funeral home)が舞台。
葬儀屋フィッシャー・アンド・サンズの社長でありフィッシャー家の父であるナサニエル・フィッシャーはクリスマスのその日、新車のキャデラック(霊柩車)を自慢げに乗り回し、久しぶりに帰郷する長男ネイト(ナサニエルJr.)を迎えに行く途中バスと衝突し死んでしまいます。
ナサニエルが事故にあっていたまさにその時、空港では長男ネイトが清掃室で行きずりの女性ブレンダと関係を。
父ナサニエルが死んでしまったことで誰がフィッシャー・アンド・サンズを継ぐのかという話になり、兄のネイトが自分勝手に家を出て行ったことで自分の夢などをすべて諦め仕方なく葬儀師(funeral director)となったデイヴィッドは、もちろん兄ネイトではなく沢山のことを犠牲にしてまでも家業を継ぐべくがんばってきた自分が跡を継ぐものだと思っていましたが、
なんと父ナサニエルの遺言書にはフィッシャー・アンド・サンズの権利はデイヴィッドだけでなく妻のルース、そして家業を継がずに自由気ままに生きてきた長男ネイトにも与えるとあるではないですか!!!
次男デイヴィッドは「なぜなんだ!!」とネイトにご立腹。
葬儀屋のことなど何もしらない長男ネイトはいくら自分にも相続権があるとはいえ家業のフィッシャー・アンド・サンズの経営については全く興味がなく、父の葬儀が終わり落ち着けばまた元いた街シアトルに戻る予定でしたが、母のルースに引き留められそのまま実家に残り結局弟デイヴィッド、腕利きの遺体修復師(embalmer)フェデリコとともにフィッシャー・アンド・サンズを経営することに…
残された母ルース二人の兄弟と妹、そして遺体整復師のフェデリコや次男デイヴィッドの彼氏のキースや行きずり女ブレンダ(笑)を交えて、様々なことが起こっていきます。
決してつまらないわけではないんだけど、物語の進み方もゆっくりめなので、私は続きが気になって仕方がない!ってほどではありませんでした。
でもファイナルシーズン(5)の最終回を見終えて、あぁ、とてもいいドラマだったなぁ、と思っています。
少し大げさかもしれませんが、見終わってちょっとだけ人生観が変わったかもしれません。
葬儀屋なので人の死を扱うドラマです。
生き方について、色々と考えさせられました。
そして今自分や家族が健康に暮らせていることが本当にありがたいことだなということに改めて気づかされた、そんな優良ドラマでした。
あぁもうなんなら全シーズン最終回までのあらすじをここにつらつら書きたいぐらいです(笑)
ネタバレブログではないのでネタバレしないように慎みます…汗
What’s “six feet under”?シックス・フィート・アンダーってどういう意味?
このドラマのタイトルにもなっている「シックスフィートアンダー」、これの意味、おわかりでしょうか?
アメリカでは故人を埋葬する際、地上から6フィート(約182.88cm)のところまで穴を掘り棺を埋めるのだそうです。
日本では火葬(cremate)が一般的ですが、アメリカでは埋葬(土葬っていうのかい?)が一般的です。
よく海外ドラマや映画のお葬式のシーンにありませんか?
お葬式に訪れたお客さんが棺に入れられきれいに着飾られた故人の顔を見て泣いたりお別れの言葉を一人ずつ述べるようなシーン。
あちらでは、病死、事故死にかかわらず、遺体修復師(このドラマではフェデリコやデイヴィッド)がご遺体を生前の姿に近い姿に近づけるという作業をします。(日本の映画でいうと「おくりびと」のもっくんがフェデリコやデイヴィッドと同じ仕事をしています。)
顔や体にある傷をお化粧(何やら専用の薬品があるようです)で隠したり、体の血をすべて抜いて防腐剤などに入れ替えご遺体の腐食を防ぎ、お葬式(funeral)でみんなが故人に対面できるようにするのです。
お葬式で対面が済んだ後、お墓(grave)に異動し棺ごと、地面から6フィ―ト下(six feet under from the ground)に埋葬します。
もちろんアメリカでも火葬を望む方もおられるようで、このドラマにも火葬を望む遺族たちが出てきます。
ただ、火葬はご遺体を修復して対面の儀式をして埋葬するよりもお金がかかりません。(だってご遺体を対面できるように整復する手間や費用がかかりませんものねェ、えぇ。)
ですのでこのドラマで火葬を望む遺族はたいてい貧困層の人たちや、そこまで故人と親しいわけではないが何かの間違いで緊急連絡先になっていた(何年も何年も前に分かれた元妻とか)などであまり故人のお葬式にすすんでまでお金をかけたくない人たちが火葬を選んでいました。
愛する故人のためなら棺(a casket)や葬儀にいくらかけてもいい、そんな風潮がドラマを見ていて垣間見えましたが、実際そうなのでしょうね。
故人を尊ぶその気持ちが、お葬式の豪華さにも表れるというところでしょうか。
登場人物
■ナサニエル・フィッシャー(リチャード・ジェンキンス):フィッシャー家の大黒柱でありフィッシャー・アンド・サンズという葬儀屋の社長だったが、クリスマスの日に交通事故にて死去。死んだはずですがドラマにはちょいちょい幽霊として出てきます(笑)
■ネイト・フィッシャー(ピーター・クラウス):フィッシャー家の長男だが家業の葬儀屋を継ぐのがイヤで他州に移り住みスーパーマーケットで働くも父の死をきっかけに実家に出戻り葬儀屋を手伝うことになる。
■デイヴィッド・フィッシャー(マイケル・C・ホール):フィッシャー家の次男だが兄のネイトに家業を継ぐ気がなかったために夢も諦め父ナサニエルの下で葬儀師として働いてきた。父の死後遺言状で葬儀屋は自分だけでなく兄のネイトにも所有権・相続権があると知らされネイトにイライラ。シーズン1の最初の方では家族にカミングアウトできていませんでしたが実は女性よりも男性を愛する同性愛者。
■クレア・フィッシャー(ローレン・アンブローズ):ネイト、デイヴィッドの妹で高校生。家が葬儀屋ということで学校では奇妙な目で見られている。バリバリの反抗期でなかなか扱いにくい。
■ルース・フィッシャー(フランセス・コンロイ):ナサニエルの妻でありネイト、デイヴィッド、クレアの母。化粧っ気もなく髪の毛も結構ボサボサ、服装もおばあちゃんみたいに見えるのになぜかモテるようで、第一話で夫のナサニエルのお葬式の最中にナサニエルが生きていた頃から美容師と不倫しているという衝撃の告白をしてしまう(笑)シーズン1以降、未亡人になってからもなぜか男が途切れない不思議なおばあさんでした…笑
■ブレンダ・チェノウィス(レイチェル・グリフィス):シアトル→ロサンゼルス便の飛行機でネイトと一緒になり意気投合、そのまま空港の清掃室で行きずりの関係を結ぶがその最中にネイトの父ナサニエルが死んだ知らせが入り、ネイトを一人で運転させるわけにもいかず病院までブレンダもご一緒するはめに(笑)そこからネイトと付き合うことになり、現実では難しいであろう「脱☆行きずりの女」を達成するラッキーパーソン(笑)頭の回転が異常に早く(IQがもんのすごい)少し変わっている。
■キース・チャールズ(マシュー・セント・パトリック):ロサンゼルス市警察(Los Angeles Police Department、通称LAPD、かっこいいねえ!)のアフリカンアメリカンの警察官で実はデイヴィッドの彼氏。オープンな自分とは違いクローズド(まだカミングアウトしていない)なデイヴィッドにヤキモキしている。
■フェデリコ・ディアス(フレディ・ロドリゲス):父ナサニエルの代からフィッシャー・アンド・サンズで働く腕利きの遺体修復師。プエルトリコ系でスペイン語もバッチリなので英語を話せないラテン系のお客が来た時は特に大活躍する。なぜフェデリコが遺体修復師になったのか、そのエピソードも後々出てきますよ^^
DVD・Blu-ray、ネット配信について
ストーリー自体が静かにゆっくりすすみ派手さもないのですが、すべて(ファイナルシーズンの最終話まで)見終わった後「あぁおもしろかった!」だけじゃなく何かが心に確実に残るとても良いドラマです。
なのになのになのになのに~、残念ながら2018年11月現在、日本国内ではDVDもBlu-rayの販売もありません。
海外版(北米版)のDVDのみがAmazonで取り扱いがあるのみです。
北米版DVDってリージョンコードが日本と違うためリージョンフリーのプレイヤーで視聴するか、パソコンのDVDドライブのリージョンコードを北米にセットして視聴するしかなく(しかも回数制限があるのでその回数に達してしまうともう元に戻せません!)、しかもDVDはBlu-rayよりもだいぶ画質が悪いのでなかなか購入する気にはなれません…
ところが、ネット配信で、全シーズン全話視聴可能です!
しかもシックスフィ―トアンダーが視聴できるのは(私の大好きなw)
だけなんです!!!
いや~ありがとうAmazon!!!!(涙)
すでにAmazonのプライム会員さんであれば追加料金なしでそのままテレビやスマホで視聴可能です。
会員じゃない人は年会費4900円もしくは月額500円で会員になることで視聴することができますよ。
シーズン1エピソードリスト
#1 秘密(Pilot)
#2 遺書(The Will)
#3 決心(The Foot)
#4 家族(Familia)
#5 関係(An Open Book)
#6 部屋(The Room)
#7 兄弟(Brotherhood)
#8 転機(Crossroads)
#9 短命(Life’s Too Short)
#10 当惑(The New Person)
#11 同様(The Trip)
♯12 告白(A Private Life)
♯13 人生(Knock,Knock)
全13話、2001年 HBO制作
まとめ 今日の使える一言英会話
シーズン1 エピソード4 家族(Familia)に出てくる1シーン。
ラテン系の遺族とのお葬式の打ち合わせを終えた後、長男ナサニエルと次男デイヴィッドがその遺族の葬儀のことであーじゃこーじゃと話し合う場面でナサニエルの言葉遣いに、そばで聞いていた母ルースが放った一言。
「Language!(言葉遣いに気をつけなさい/言葉が汚いわよ)」
よく汚い言葉を使っている子供に向かってお父さんやお母さんが「Language!」と注意することは実際にアメリカ一般家庭の日常風景にてよく見られる光景です。
周りに汚い言葉遣いをしている人がいたらぜひ言ってやってね、Language!!!←笑
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